紹介

銀河形成において、銀河と銀河の衝突が幾度も繰り返し行われ、そしてその最終段階に巨大銀河へと進化すると考えられている。そして、概ね、すべての銀河の中心には巨大ブラックホールが存在すると考えられているが、その巨大ブラックホールがどのように誕生し、そしてそれが銀河の進化とどのように関係しているのか、まだ明確にその過程はわかっていない。巨大ブラックホールと銀河の共進化を軸に、活動銀河核、ブラックホール、巨大ブラックホールバイナリ―ブラックホール、そしてこれらの周辺物理(ジェット、プラズマ円盤、分子ガストーラスなど)に関する観測的研究を行っている。

また、電波干渉法の研究において、アンテナ、受信機、アナログ機器、アナログ・デジタル変換器、高速データ伝送装置、基準信号発生器と基準信号安定化校正器、デジタル機器、開口合成法における画像解析と校正法など、これら電波干渉計サブシステムの詳細設計と開発、そして望遠鏡システムの全体設計とその最適化の研究を行っている。

現在、この干渉法の研究をさらに推し進め、第2の地球の検出とその直接撮像を目指した次世代望遠鏡計画の立案を行っている。

アルマ望遠鏡は、パラボラアンテナ66台を組み合わせる干渉計方式の巨大電波望遠鏡です。直径12メートルのアンテナを50台組み合わせるアンテナ群と、直径12メートルのアンテナ4台と直径7メートルアンテナ12台からなる「アタカマコンパクトアレイ (ACA)」で構成されている。 アンテナは全て移動可能なタイプである。アンテナを動かし、それらの間隔を最大18.5キロメートルまで広げることで、直径18.5キロメートルの電波望遠鏡に相当する空間分解能(=視力)を得ることができ、ミリ波・サブミリ波領域では世界最高の感度と分解能を備えた望遠鏡である。 略称の「アルマ(ALMA)」は、チリの公用語となっているスペイン語で「たましい」を意味する。

現在、東アジアプロジェクトマネージャとしてアルマ計画を推進している。

ハイライト

巨大ブラックホール

Posted by Satoru IGUCHI on June 28, 2015  • 

宇宙に多数存在する銀河の中心には、高い確率で巨大なブラックホールが存在すると考えられている。これらのブラックホールは太陽の数百万倍から数百億倍もの質量をもつことから、「超巨大ブラックホール」と呼ばれている。これまでの研究から、超巨大ブラックホールの質量とそれを含む銀河(母銀河)の中心部(バルジ部)の質量や明るさとの間に相関があることがわかってきた。これは、母銀河の成長・進化に超巨大ブラックホールが大きく影響していることを示唆しており、超巨大ブラックホールと母銀河の関係を調べるには、超巨大ブラックホールの質量が重要な物理パラメータであることがわかる。

銀河がどのように生まれどのように進化してきたのか、またその中で超巨大ブラックホールがどのように生まれ成長してきたのかは、天文学における大きな謎のひとつである。銀河と超巨大ブラックホールの共進化の仕組みと歴史を明らかにするために、超巨大ブラックホールの質量を精密に測定する研究を行っている。

バイナリーブラックホール

Posted by Satoru IGUCHI on December 1, 2010  • 

銀河形成において、銀河と銀河の衝突が幾度も繰り返し行われ、そしてその最終段階に巨大楕円銀河が誕生すると考えられている。 最近の観測結果から、巨大銀河中心にはバイナリーブラックホールが存在することが示唆されている。 その進化の過程の中で、それら2つのブラックホールが衝突し、さらに強大な超巨大ブラックホールに成長することが予見されている。 ブラックホールの合体衝突は、まさに宇宙空間において最も壮大な自然現象の内の1つであろう。 バイナリーブラックホールの形成メカニズムを解明することは、銀河形成における銀河合体の研究においても、超巨大ブラックホールへと成長するブラックホール衝突の役割の解明や衝突段階における重力波放射の検出においても、非常に大事であるといえる。

合体直前のブラックホールの振る舞いを詳しく調べ、どのようにして超巨大なブラックホールが誕生するのか、そしてその誕生(衝突)の過程で放射されると考えられている重力波との関係を解き明かすことを目指し、バイナリーブラックホールの研究を行っている。

第2の地球 探査

Posted by Satoru IGUCHI on January 26, 2013  • 

私たちはどこから来たのだろうか。これは天文学者のみならず、古くから人間誰しもが抱いてきた根源的な問いである。「第2の地球」の探査は、その答えに近づく大きな一歩になるだろう。

現在、検討中の次世代電波干渉計計画では、生命関連物質の探査や地球型惑星の直接撮像を目指す。地球のような惑星はこの宇宙に普遍的に存在しているのか、また、そこで生命が誕生する可能性があるのか。これらの答えは、「第2の地球」の発見によって明らかになるかもしれない。

20世紀の天文学はいわば「天体物理学」の世紀だった。しかし、歴史をたどれば、天文学は物理学とは独立して発展してきた学問分野である。21世紀に入った今、物理学との関わりに捉われることなく、天文学の新たな潮流を生み出す時である。