記者会見 2010年11月30日

自然科学研究機構 国立天文台


衝突する直前の双子のブラックホールを発見

>ダウンロード [高解像度版 2MB(JPG)]  [高解像度版 26.1MB(TIF)]  [高解像度版(グラフ無し) 2.1MB(JPG)]  画像クレジット:国立天文台(NAOJ:右)/米国国立電波天文台(NRAO/AUI:左)提供

研究の概要

    国立天文台ALMA推進室の井口聖准教授が率いる研究グループは、衝突直前の2つのブラックホールを初めて観測することに成功しました。

    これまでの研究で、非常に活動性が高い銀河中心核(活動銀河核)のさらにその中心には"太陽の数十億倍程度の質量を持つ"巨大なブラックホールが存在することがわかってきています。そして、近年、さらにこの中心には2つ(3つ以上も有り得る)のブラックホールが存在する可能性が示唆されています。その中で、2003年、本研究チームが巨大楕円銀河・電波銀河3C66Bの中心核の公転運動を観測することで、この中心に2つのブラックホールが存在することを世界で初めて発見することに成功しました(米国の科学雑誌「サイエンス」に掲載)。

    その後、本研究チームは 野辺山宇宙電波観測所のミリ波干渉計フランス・ドイツが共同で運用するIRAM観測所(フランス・グルノーブル)のPdBI干渉計を使って、さらに詳細な観測を実施し、その2つのブラックホールが実はあと500年程度で衝突することを突き止めました。このような衝突直前の2つのブラックホールが存在することを強く示唆する観測に成功したことは世界で初めてです。

    宇宙が誕生してから今まさに我々が見ている銀河へ進化していく"銀河形成史"において、銀河と銀河の衝突が幾度も繰り返し行われ、そしてその最終段階に巨大楕円銀河が誕生すると考えられています。この巨大楕円銀河の中心から合体直前の2つの巨大なブラックホールが発見されたことは、これまでの銀河形成史の仮説を強く支持する結果を得たことになります。本研究は、まさに宇宙空間において最も壮大な自然現象の内の1つを初めて観測で捉えることに成功したという結果です。

    研究チームは、今後、現在建設中のアルマ(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)を用いて、より高精度な観測を実施することで、合体直前のブラックホールの振る舞いを詳しく調べ、最終的にどのようにしてさらなる超巨大なブラックホールが誕生するのか、そしてその誕生(衝突)の過程で放射されると予言されている重力波との関係を解き明かして行きたいと考えています。

    本研究は、2010年12月1日発行の米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レター」に掲載されます [ S. Iguchi, T. Okuda and H. Sudou, ``A Very Close Binary Black Hole in a Giant Elliptical Galaxy 3C 66B and its Black Hole Merger,'' Astrophysical Journal Letters, vol.724, L166, 2010]。


  研究グループ


  記者会見 次第

    日時:11 月 30 日(火)14 時00 分〜15 時00 分(日本時間)

    場所:国立天文台三鷹キャンパス・W1 すばる棟 大セミナー室

    挨拶:渡部 潤一 (国立天文台 天文情報センター 広報室長)

    1.成果と意義

      (1)研究の背景

         須藤 広志(岐阜大学 助教)

      (2)衝突する直前の双子のブラックホールを発見

         井口  聖(国立天文台 准教授)

      (3)今後の展開(ALMA/アルマに向けて)

         井口  聖 (国立天文台 准教授)

    2.質疑応答

      司会: 渡部 潤一 (国立天文台 天文情報センター 広報室長)

    この会見の内容に関する記事掲載等の解禁日時は、12月1日午前0時(日本時間)です。


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