ガス円盤と塵(ちり)円盤を伴う双子の原始星の発見


(2007年10月1日)

 韓国天文宇宙科学研究院と国立天文台のチーム(注1)は、ペルセウス座方向にある生まれたばかりの双子の原始星において、一方にガスが豊富な円盤、もう一方に塵が豊富な円盤があることを発見した。地球外生命の可能性を考える上で、原始星周囲の円盤のガスと塵の割合は、木星のようなガス惑星が誕生する確率と地球のような固体惑星が誕生する確率に関係している可能性があり、大変興味深い。

 観測は、米国国立電波天文台のVLA電波望遠鏡を用いて行われ、アンモニア分子の輝線を使ってガス成分、熱的電波連続波をつかって塵成分の観測を行った。 アンモニア輝線においては、ドップラー効果により円盤が回転していることが観測された。また、ガスと塵の中心集中度、ガスの温度と塵の温度、水メーザー(電波におけるレーザー)の存在、などから、双子の原始星は同時に誕生し、誕生してから間もないことがわかった。驚くべきことに、原始星に付随する円盤は、片方がガスが豊富で、もう片方が塵が豊富という非常に異なった性質を持っていることがわかった。ガスと塵の存在量の比の違いは7倍にも達する。

 電波天文学の観測装置の進展により、これまで難しかった惑星誕生の現場の直接観測が可能になってきている。国立天文台などが国際協力でチリに建設中の大型電波望遠鏡ALMAでは、解像度、感度の飛躍的向上が期待され、今回発見されたような性質の異なる円盤を観測することにより、惑星誕生の謎にメスをいれ、さらには地球外生命誕生に関する知見が得られると期待される。

 なお、観測結果は10月1日付の国際天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ」に掲載予定である(注2)。



図の説明:

赤色が塵(ちり)からの電波強度、青色がアンモニア分子によるガスからの電波強度をあらわす。緑色は、SiO分子を用いて観測された原始星からふきだしている超音速ジェット「アウトフロー」。黄色の点は水メーザー(電波におけるレーザー)の点源をあらわす。図の大きさは、全体が約0.3光年平方、中心の拡大が約0.03光年(2000天文単位)平方。なお、アウトフロー(緑)が左上で折れ曲がっているのは、宇宙に浮かぶ「星間分子雲」と衝突したため。




図の説明:

中心部を拡大。塵(ちり)からの電波強度(赤)とアンモニア分子によるガスからの電波強度(青)を別々に表示。2つの図はまったく同じスケール。視野はほぼ6秒角平方(1辺が0.03光年=0.01パーセク=2000天文単位)


観測に使われた電波望遠鏡VLA

Image courtesy of NRAO/AUI
オフィシャルホームページ

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観測情報

天体名:NGC 1333 IRAS 4A
天体座標: 赤経(J2000)=03時29分10.4秒
    赤緯(J2000)=31度13分33秒
距離: 1000 光年 (320パーセク)
使用した望遠鏡:Very Large Array (VLA)
観測した周波数・波長
23.7 GHz / 1.26 cm [アンモニアNH3 (2, 2)]
23.9 GHz / 1.26 cm [アンモニアNH3 (3, 3)]
22.2 GHz / 1.35 cm (水H2O 616-523)
22.5 GHz / 1.33 cm (連続波)

大型電波望遠鏡ALMA
注1
Choi, Minho(韓国天文宇宙科学研究院)
立松健一(国立天文台教授)
Park, Geumsook(韓国天文宇宙科学研究院)
Kang, Miju(韓国天文宇宙科学研究院)

注2
M. Choi, K. Tatematsu, G. Park, and M. Kang, "Ammonia Imaging of the Disks in the NGC 1333 IRAS 4A Protobinary System," Astrophysical Journal, Letters, 667, L183-L186 (2007 Oct 1)

立松健一(たてまつけんいち)